「夢中な建築」03_【旧加地邸】

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先日の社長ブログで名建築の再生について書いたのですが、旧加地邸について久しぶりに触れまして、あの素敵な空間を思い出したので、改めて「夢中な建築」第3回として取り上げてみたいと思います。

「旧加地邸」は建築家・遠藤新さんの設計による住宅です。遠藤氏はあのフランク・ロイド・ライトのお弟子さんで、日本で建てられたライトの建物すべてに関わっておられるそうです。

その中には「帝国ホテル」(現在、玄関棟のみ博物館明治村に移設)あり、「自由学園明日館」(目白)あり、「山邑邸」(現、ヨドコウ迎賓館/神戸)あり、とそうそうたる名建築が並びます。

旧加地邸でもライトの影響を色濃く見ることができます。

 

長い石のアプローチ。建物規模に比べて、玄関周りはコンパクトにまとめてある。

 

 

アプローチ脇の水盤。

 

石の柱と塗り壁のバランス。多層的な屋根の構成がとても印象的です。

 

幾何学的な所作の中に、素材を使った幾何学の崩しもあり、硬い素材を使いながらも全体的には土の地面のような柔らかな整然さを感じます。

 

サンルーム部分の外観。部屋を真四角ではなく、六角形とすることで景色がより広角に広がって感じられ、とっても気持ち良い空間になっていました。

 

とてもシンプルな玄関。採光のためのガラス部分のデザインが、照明「タリアセンシリーズ」のよう。

 

実はこの建物、竣工から60年を過ぎており、十数年前に保存運動が展開されました。

その際に「加地邸をひらく 継承を目指して」と題したオープンハウス的な取り組みが行われました。

ここにあげた写真はそちらに参加した時に撮影したものです。

内部は撮影禁止だったので写真がないのが残念です。

 

 

このようなブックレットも用意されており、その魅力を多くの方に知ってもらおうと運動が展開されました。

このイベントの時にも建築関係者をはじめ多くの方が参加されており、名建築を残すために尽力されていました。

この建物はその保存運動の甲斐もあって、現在は宿泊施設「葉山加地邸」として運営されています。

 

 

ちなみにこの建物、TVドラマ「岸部露伴は動かない」(原作・荒木飛呂彦)で、主人公の住まいとして撮影に使われています。

意外とこちらでご存じの方の方が多いかもしれませんね。

 

なかなか気安く泊まれるお値段ではありませんが、実際に宿泊できる体験にはかえられません。

建築好きの方、ジョジョファンの方にはぜひおススメです。

 

宿泊施設へと改修される際にかなり現代的な内装に改装されているようですが、元のプロポ―ションや開口はほぼそのままになっているようです。

開口部からの葉山の山々の風景や、抑えられた天井による囲われ感と吹き抜け部分の解放感、細かなディテールなどなど、思い返してみると、もう一度みたいところが満載のとても素敵な空間の積層でした。

いや~、建築って面白いですね。

 

次回は師弟繋がりで、フランク・ロイド・ライトの建物にしようかな?

それではまた次回、「夢中な建築」でお会いしましょう。

 

written by atsushi tamura

 

 

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