解説|家づくりのお金の話 ―活用したい減税制度

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「家を建てることは楽しみだけど、お金のことになると不安でいっぱい…」
そんな声を、お客様からよく耳にします。建物価格やローンのことは調べても、“税金”や“減税制度”についてはよくわからないまま家づくりを進めてしまう方がほとんどです。

ですが、実はそれこそが落とし穴。住宅に関わる税金や制度の知識を持っているかどうかで、最終的な支出が数十万円、場合によっては数百万円も変わるのです。

私たちはこれまで多くのお客様と家づくりをともにしてきました。その中で実感しているのは、「制度を知っている人は損をしない」「申請に間に合った人は得をする」という事実。
住宅ローン控除や贈与税の非課税、固定資産税の軽減措置など、多くの制度が用意されているのに、知らないがために使われていないケースが多いのです。

この記事では、家づくりに関わる税金の基本から、実際に使える減税制度の種類、申請のタイミングや手続きの注意点までを網羅的に解説しています。家づくり初心者の方でも安心して理解できるよう、やさしい言葉でまとめました。

これを読むことで、“知らなかった”では済まされない税金の落とし穴を回避できるとともに、制度を味方につけたお得な家づくりのコツがつかめます。

後悔のないマイホーム計画のために、今こそ「お金の知識」を身につけて、「損をしない家づくり」を始めましょう。

 

Contents

1|家づくりと税金の関係 ― 知らないと損する「減税制度」の基本

 

|なぜ家づくりに税金の知識が必要なのか?

 家づくりは人生最大の買い物といわれるほど、金額も手続きも大きなスケールになります。間取りやデザインには関心が集まりますが、見落とされがちなのが「税金」の存在です。
住宅の取得や建築にはさまざまな税金が関わっており、正しい知識がないと数十万円〜数百万円の出費になってしまうことも。
しかし、税金を理解し、正しく制度を活用すれば、その分だけコストを削減し、家計にゆとりを持たせることが可能です。
つまり、「税金の知識」は損をしない家づくりの第一歩。デザインや性能だけでなく、税制面にも目を向けることが、賢い家づくりにつながります。

|住宅購入にかかる主な税金とは?

 家づくりでは、「建てる時」と「住み始めてから」の両方で税金が発生します。
まず代表的なのが「消費税」。建物価格の10%が課税されるため、建物本体が3000万円なら300万円が必要です。
次に「登録免許税」や「不動産取得税」も忘れてはいけません。登記や不動産の取得時に発生するこれらの税金は、手続きに伴って必要になるため、予算に入れておかないと後で慌てることに。
さらに、住み始めてからは「固定資産税」「都市計画税」が毎年かかってきます。
これらすべてを把握し、時期と金額を予測することが、安心した資金計画づくりにつながります。

 
|減税制度とは?どんな種類があるのか

 住宅に関する減税制度とは、税金の負担を軽くするための優遇措置です。国や自治体が用意しており、条件を満たせば大きなメリットが得られます。
代表的な制度には、以下のようなものがあります。

・住宅ローン控除(一定期間、所得税が軽減)
・固定資産税の軽減(新築後3年間1/2に)
・不動産取得税や登録免許税の軽減措置
・贈与税の非課税措置(親・祖父母からの資金援助)
・高性能住宅に対する補助や控除(長期優良住宅・ZEHなど)

それぞれに適用条件や申請期限があるため、「知っている」だけでなく、「行動する」ことが必要です。

 
|減税制度を知らないと数百万円損することも

 制度の存在を知らなかっただけで、本来受けられたはずの控除や補助が受けられない…という例は少なくありません。
たとえば住宅ローン控除は最大13年間にわたり、ローン残高の0.7%が控除されます。数百万円規模の節税効果が見込めますが、確定申告を忘れると初年度から対象外になります。
また、固定資産税の軽減や贈与税の非課税も、条件を満たしていても申請しなければ適用されません。
制度は「自動的に受けられる」わけではないため、施主自身が能動的に動く姿勢が求められます
損をしないためには、最初から「減税制度を前提にした家づくり」を意識することが大切です。

 
|制度を正しく活用するための「タイミング」と「準備」

 減税制度は、正しいタイミングで正確に申請することで初めて効果を発揮します。
たとえば、住宅ローン控除は入居の翌年に確定申告が必要ですし、贈与税の非課税措置は贈与のあった翌年に申告が必要です。
また、固定資産税や不動産取得税の軽減は引渡し後すぐに自治体へ届け出る必要があります。
必要な書類(登記簿、住民票、借入残高証明書など)も多く、準備に時間がかかるため、家づくりのスケジュールと並行してチェックしておくべきです。
可能であれば、税理士や住宅会社の担当者と事前に相談し、制度活用のための計画を「工程表」に組み込むことをおすすめします。
準備と確認を怠らないことが、減税制度をフルに活かすコツです。

 

2|家づくりで活用できる主な減税制度 ― 住宅ローン控除から贈与税非課税まで

 

|住宅ローン控除|年末残高の0.7%が13年間戻ってくる制度

 家づくりの減税制度で最も代表的なのが「住宅ローン控除」です。これは、住宅ローンの年末残高の0.7%が、最長13年間にわたり所得税や住民税から控除されるという制度です。 仮に年末残高が3000万円であれば、21万円が1年で戻ってきます。13年間で最大273万円の節税が見込める、大きなメリットのある制度です。 ただし、対象となる住宅の床面積や、借入先、入居時期などに条件があります。また初年度は確定申告が必須であり、書類の準備と期限管理が重要です。 制度改正のタイミングや適用条件の変化にも注意しながら、早めに対応しましょう。

 

|贈与税の非課税措置|親や祖父母からの援助が非課税になる条件とは

 親や祖父母から住宅取得資金の援助を受ける際に使えるのが、「住宅取得等資金の贈与税非課税制度」です。 通常は110万円を超える贈与には贈与税が課せられますが、この制度を活用すれば、最大1000万円までが非課税となります(省エネ基準を満たす住宅の場合)。 これにより、多くの資金援助を安心して受けられるようになり、若い世代の家づくりにも心強い味方となります。 ただし、この制度も適用条件や申告時期が厳密に決められており、翌年の贈与税申告が必須です。住宅ローン控除との併用が可能な点もメリットですが、詳細は税理士など専門家との相談をおすすめします。

住宅の種別 非課税限度額
省エネなど住宅  1,000万円
上記以外の住宅  500万円
 
|固定資産税の軽減|新築住宅は一定期間税額が1/2に

 新築住宅に住み始めると毎年課税されるのが「固定資産税」です。しかし、これには軽減措置があります。 一定の条件を満たす新築住宅(専用住宅で床面積50㎡以上280㎡以下)では、3年間(3階建て耐火構造は5年間)、建物部分の固定資産税が1/2になります。 たとえば本来10万円かかる場合、5万円に軽減されるため、合計で15万円の節税になります。 長期優良住宅やZEHなどの性能基準を満たせば、軽減期間の延長や追加優遇を受けられる場合もあります。 この制度は市区町村により手続きが異なるため、建築確認や登記が完了したらすぐに確認・申請することが大切です。

 
|登録免許税・不動産取得税の軽減|取得時にかかる税の負担を抑える

 家を建てた際には「登記」と「不動産の取得」に関連する税金が発生します。 所有権を登録する際には「登録免許税」がかかり、通常は建物評価額の0.4%(保存登記)や1%(所有権移転登記)などです。 また、土地・建物を取得すると「不動産取得税」も課税されます。 これらの税金には新築住宅に対する軽減措置が設けられており、建物の評価額から最大1200万円が控除されるなど、大きな効果があります。 適用には期限と申請が必要なため、登記・引渡しと並行して税務署や県税事務所への問い合わせ・申請を早めに行いましょう。

 
|ZEHや長期優良住宅|高性能住宅ならさらに優遇される制度

 耐震性や省エネ性能に優れた住宅には、さらに手厚い減税や補助の制度があります。 代表的なのが「長期優良住宅」「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」です。 これらに認定されると、住宅ローン控除の上限アップや、登録免許税・不動産取得税・固定資産税の軽減幅が拡大します。 また、年度ごとの支援制度(例:こどもエコすまい支援事業など)によって、補助金が追加で受けられる可能性もあります。 高性能住宅は初期コストが上がることもありますが、長期的な光熱費削減や税優遇とのバランスで見ると大きなメリットとなります。 設計の段階から性能・制度を意識し、工務店と連携しながら家づくりを進めることが成功のポイントです。

 

□長期優良住宅などの減税・優遇制度

〇住宅ローン減税    
控除対象借入制度 認定長期優良住宅 4,500万円 ※1
  ZEH水準省エネ住宅 3,500万円 ※1
  省エネ基準適合住宅 3,000万円 ※1
控除率   0.7%
控除期間   13年
所得要件   2,000万円
床面積要件   50㎡ ※2

※1 子育て世代などは+500万円
※2 新築の場合:40㎡(所得要件:1,000万円)

〇所得税の特別控除

一般住宅 長期優良住宅
控除なし 最大65万円の減税

※標準的な性能強化費用相当額の10%(上限65万円)を、その年の所得税から控除

 

〇登記免許税・不動産取得税・固定資産税の軽減

  一般住宅 長期優良住宅
登録免許税 ①保存登記 0.15%
②移転登記 0.3%
①保存登記 0.1%
②移転登記 0.2%(戸建て)
不動産取得税 課税金額から 1,200万円控除 課税金額から 1,300万円控除
固定資産税 戸建 当初3年間  1/2軽減 戸建 当初5年間 1/2軽減

 

3|後悔しないために ― 減税制度を最大限に活かす家づくりのコツ

 

|「いつまでに申請すれば間に合う?」制度ごとのスケジュール管理

 減税制度を活用するうえで、最も多い失敗は「期限切れ」による適用漏れです。制度ごとに申請のタイミングが異なり、タイミングを逃すと数十万円の控除が受けられなくなることもあります。 たとえば住宅ローン控除は入居した翌年の確定申告が必要で、贈与税の非課税措置も贈与の翌年に税務申告を行わなければなりません。 固定資産税や不動産取得税の軽減も、家の引渡し直後の申請が必要な自治体が多く、事前に調べておくことが不可欠です。 家づくりの工程表に税制の申請スケジュールも組み込んで、設計・工事と並行して準備を進めることで、制度を確実に活用できます。

 
|ハウスメーカーや工務店との連携が減税成功のカギ

 減税制度の中には、設計や建物性能の条件を満たさないと適用されないものがあります。 たとえば長期優良住宅やZEHは、着工前の認定申請や追加仕様が必要です。床面積要件(50㎡以上など)や建築確認の取得時期によっても、制度の対象外となってしまう可能性があります。 制度を活用したいなら、設計段階から工務店にその意思を明確に伝えることが大切です。 多くの工務店では基本的な制度に対応していますが、詳細な制度の選定や設計対応までは施主側の要望がなければ踏み込まないことも。 家づくりのパートナーと「制度を活かす設計」を共に考える姿勢が、後悔しない家づくりへの第一歩となります。

 
|住民票や登記など、見落としがちな申請書類のチェックリスト

 減税制度を利用するには、多くの書類が必要です。たとえば住宅ローン控除の申請には、登記事項証明書、借入残高証明書、住民票、請負契約書、源泉徴収票などが必要です。 また、贈与税の非課税措置には贈与契約書、建築確認済証、登記事項証明書などが求められます。 これらの書類は役所や金融機関で取得する必要があり、発行から3か月以内といった制限が設けられていることもあります。 すべての必要書類を「チェックリスト化」して、工程表に沿って集めることで、スムーズな申請が可能になります。 書類不足による申請却下を防ぐためにも、早めの確認と準備を心がけましょう。

|「税理士に相談すべき?」プロのサポートを使う判断基準

 自分だけで制度を調べ、期限を守り、書類を揃えるのは不安…という方は、税理士やFPなどの専門家に相談するのも一つの手段です。 特に以下のようなケースでは、プロのサポートが効果的です。 ・親からの贈与・相続も絡む資金計画 ・共働き家庭での控除配分調整 ・副業などで確定申告が複雑 ・複数の補助金や控除を併用する場合 税理士への依頼には費用がかかりますが、確実に数十万円〜百万円単位の減税が見込めるなら投資の価値ありです。 制度の適用ミスや申告漏れを防ぐ安心感も得られるため、迷ったときには一度相談してみるとよいでしょう。

|減税だけに頼らない。家づくり全体で考える資金計画のポイント

 減税制度は非常に魅力的ですが、あくまで「補助的な存在」であることを忘れてはいけません。 制度は毎年のように内容が見直され、突然の打ち切りや予算上限に達しての早期終了もあります。 そのため、「制度が受けられなくても困らない」資金計画を立てることが大切です。 また、家は建てた後も維持費や修繕費、税金がかかるため、長期的な生活コストも見据えておく必要があります。 制度は“上手に使うもの”であって、“頼りきるもの”ではないという意識を持ち、地に足のついた予算組みと住宅計画を心がけましょう。

 

まとめ|賢く減税制度を活用して、後悔しない家づくりを

 家づくりは人生における最大の投資とも言える大きな出来事です。
間取りやデザインはもちろん大切ですが、「税金」という視点を持つことで、費用の負担を大きく軽減することができます。
家を建てたり購入したりする際には、消費税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税など、さまざまな税金がかかってきます。
これらの負担を少しでも軽くしてくれるのが、今回ご紹介した減税制度の数々です。
代表的な制度である住宅ローン控除は、長期間にわたり所得税や住民税の軽減を受けられますし、親からの支援を受ける際に使える「贈与税の非課税措置」も非常に有効です。
固定資産税の軽減や、登録免許税・不動産取得税の軽減措置など、使える制度は多岐にわたります。
ただし、これらの制度はそれぞれに要件・期限・申請手続きがあるため、知っているだけでは不十分です。
実際に適用されるためには、タイミングよく申請し、必要な書類を整える準備が求められます。
また、制度のなかには、設計段階での対応が必要なものもあります。
たとえば長期優良住宅やZEHなどは、性能基準を満たすだけでなく、着工前に認定を受ける必要があります。
このような制度を活用するには、工務店や建築士との早めの連携が不可欠です。
そして、減税制度に依存しすぎないことも大切です。
制度は年度ごとに変更されることがあり、突然の終了や条件の改定が行われることもあります。

あくまで「制度は活用するもの」であって、「制度が前提の資金計画」は避けるべきです。

だからこそ、ご自身で学び、計画し、必要に応じて専門家に相談するという姿勢が、後悔のない家づくりを支えてくれます。
減税制度は、正しく使えば数十万円〜数百万円もの家計の助けになります。
家の性能やデザインと同じくらい、「お金の計画」も家づくりの大切な一部です。制度を賢く活かして、安心・納得のマイホームを実現していきましょう。

 

 

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