新築か、リノベか? 田舎でよくある母屋+納屋の場合

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住まいを考えた時、新築住宅を建てるか、今ある家をリフォーム・リノベーションするか、というのは土地や建物をお持ちの場合、大変悩む問題です。特に田んぼや畑の広がる田園エリアで代々住まわれている方などはご両親が住む母屋と納屋があり、わざわざ別に家を建てるのももったいない。なんていうケースはよくあります。今回はこのケースでどんな選択肢があるか、どんなメリット・デメリットがあるか。を考えてみたいと思います。

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田舎の民家のつくり

一般的に広島の田舎の民家はお米作りの農作業を前提としてつくられています。そのため人の暮らす母屋と、そのすぐ隣に農機具を収納したり、収穫物を保存したり、また牛を飼ったりする納屋の2つの建物から構成されています。昔はこの建物がフルに活用されていたのですが、現代では農業の効率化による作業の減少や、農業をしなくなったりという理由により納屋は完全な倉庫になってしまっていることが多いのです。母屋は両親が暮らすために必要。では納屋をどうするか。そこがこのケースの焦点になってきます。しかしこれはよくよく考えていくと、実は母屋をどうするかという問題でもあるのです。

新築か、リノベか、選択肢は4つある

新築か、リノベか。悩ましい判断ですが、実は選択肢は4つあるのです。もちろん広く考えていけばその場所を売って移住するなどの選択肢もありはするのですが、ここではこの場所に暮らす。ための4つの選択肢を考えます。
4つの選択肢は、今ある建物を活用するかどうか、そして親世帯との生活環境をどう整えるかによって分かれてきます。

A.納屋を住宅にリノベーション。母屋はそのまま親世帯が住む
今ある建物をできるだけ活用する方法です。最もイニシャルコストを抑えられる方法です。
B.納屋を解体し、母屋を2世帯住宅にフルリノベーション
建物を減らし、親世帯と一緒に暮らす方法です。母屋に十分な大きさがあることが条件となります。
C.納屋を解体し、新築する。母屋はそのまま親世帯が住む。
建物を完全に2つに分け、お互いの生活を大事にする方法です。
D.母屋・納屋を解体し、2世帯住宅を新築する
敷地を一度更地に戻し、ご両親と同居する方法です。イニシャルコストは最大になります。

4つの選択肢のメリット・デメリット

4つの選択肢にはそれぞれメリット・デメリットがあります。コストパフォーマンスや2つの家族の暮らし方、そして10年後・20年後に建物をどう使っていくのか、をよく考えて選択を検討する必要があります。

A.納屋を住宅にリノベーション
最大のメリットは建物をいじる部分が最も少なく、イニシャルコストが最も抑えられるところです。親世帯の生活環境はほとんど変わらないので、リスクが小さい方法です。しかし、既存部分の間取りや構造によって、リノベーションには大きく制限が生まれる可能性があります。納屋は母屋とつながっていることが多いので、母屋と完全に切り離すことも、一部を接続したままにもできるので、親世帯との関係をコントロールしやすいのが特徴です。親世帯がいなくなった後、母屋をどうするかが検討事項です。

B.納屋を解体し、母屋を2世帯住宅にリノベーション
母屋がある程度の規模を持っていることが条件となりますが、納屋をなくすことで建物が1つになること、敷地を広く使えるようになることが特徴です。建物が1つになることでのちのちの扱いが楽になり、維持管理にかかる費用が軽減されます。敷地が広くなることで駐車スペースや庭を十分にとることが可能になります。2世帯住宅になり、親世帯との完全同居となるので、家族の関係性が重要となります。また、リノベーションになるので既存母屋の間取りや構造によって制限が生まれる可能性があります。

C.納屋を解体し、新築する
最も両世帯の独立性の高い住み方となります。ある程度の距離を置き、お互いのプライバシーを大切にしたい人には最適と言えます。居住空間は分かれていますが、すぐ隣に住んでいるので行き来も簡単にでき、何かにつけて助けてもらうことができます。解体費はかかりますが、新築のため、間取りなどが自由になることが大きなメリットです。また構造・温熱の性能を確実に確保できることも大きなメリットとなります。改修に比べるとコストは大きくなります。建物が2つになるため、後々の母屋の扱い・維持管理の問題は残ります。

D.母屋・納屋を解体し、2世帯住宅を新築
敷地全体を一度リセットすることになるので、配置計画から自由になり、駐車場を含めた土地の使い方や間取りなどすべてを現代の要求に合わせた使い方にできることが最大のメリットです。イニシャルコストは当然最大となりますが、全体の温熱性能を整えられること、建物が1つになることで維持管理費が小さくなり、長い期間で考えるとランニングコストは最小となります。完全な2世帯住宅となりますが、間取りに自由が利くため、両世帯の関係をコントロールしやすいこともメリットとなります。

まとめ 心ゆたかな田舎暮らしを

以上、4つの選択肢を見てきましたが、やはり一長一短。それぞれの人が自分の条件をもとに判断していくしかありません。その時に大事なのは、何を大切にするか明確にすることです。母屋や納屋の建物への愛着が大きければ、残そう!という選択肢が出てきますし、親世帯の介護を見据えていれば2世帯住宅という選択肢が現実的かもしれません。みんな元気な状態であれば、やはり住む建物は別にして少し距離を置くことで、近くに居ながらお互いの生活を守り心地よく暮らそう。という発想になるのがごく普通の感情です。どれも正解だと思います。ただ、10年後20年後、残された建物をどう使っていくか、どう扱っていくかはしっかりと考えるべきだと思います。2つの建物があるというのは維持管理にどうしてもコストが生まれてきます。しかし逆に家族としてずっとその土地に暮らしていくことを考えるのであれば、世代ごとに2つの建物を交互にリノベまたは新築していくという考え方もメリットがあると思います。どの選択肢を選ぶとしても、大切にして欲しいのは田舎暮らしを楽しむことです。窓の外に広がる自然の風景、田んぼの変化から感じる四季の移り変わり、気持ちの良い季節に楽しむ外メシ。。。自然に囲まれているからこそ生まれる心ゆたかな暮らしを楽しむようなプランをぜひ取り入れてください。
新築か、リノベか?悩んでいる多くの方の参考になればと思います。ぜひ、ご家族でよく話し合っていただき、後悔のない選択を。

 

 

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