「夢中な建築」02_【讃岐緑荘】
お待たせしてしまいましたが、「夢中な建築」ようやく第2回の掲載となりました。
普段の家づくりとは少し距離のある話題だったのですが、意外と多くの方に読んでいただいたようでありがたいやら恐縮するやら。
第1回でお蔵入りとならずに済んでほっとしております。
さて、前回はえらく遠い場所の建築を選んでしまったので、今回はぐっと近づいてご近所?の香川の建築を取り上げてみたいと思います。
第2回は、【讃岐緑荘】を紹介します。
こちらは香川の有名工務店「菅組」さんが建築家・堀部安嗣さんの設計で建てられたモデルハウス兼一棟貸しのお宿となっています。
なかなか珍しい取り組みですが、住宅としてつくられた空間がそのまま宿として成立ししまうという、堀部さんの設計力の高さ、菅組さんの施工力の高さを物語るような建物です。
外観は腰屋根と焼杉の外壁が印象的です。腰屋根(こしやね)とは大屋根の上にちょこんと乗った小さな屋根の事。古くからある形式で、ここから光を取り入れたり、部屋内の暑い空気を逃がしたりという役割をもっていました。堀部さんは近年この形式をよく使われており、おそらく高気密高断熱のお家を手掛けるようになられてから、腰屋根の形式が相性が良いと判断されて採用されているのではないかと思います。お宿【讃岐緑荘】のロゴマークになるくらい、象徴的ですよね。
内部は大きな吹抜けリビングを中心に、水廻りやダイニング、寝室がくっついているプラン。「何もない」リビングがとても存在感がありながらも、明るさを抑えた落ち着いた空間になっています。連窓の並んだダイニングが明々とした空間となっているのと対照的なつくりとなっており、リビングと他の部屋を行き来するだけでONとOFFを繰り返すような不思議な感覚を感じられます。
(リビングのソファからダイニング越しに外を眺める)
堀部さんの建築で秀逸なのが、「木の使い方」。同じ杉の材料でも、幅の大きさを変えたり、貼る向きを変えたりすることで、変幻自在に空間の雰囲気をコントロールしていきます。それがまたその場所の機能によくあっていて、なんともいえず落ち着いた、けど少しだけ華やかな空間に設えられています。
まだまだハーフユニットのお風呂などいろいろ見どころはあるのですが、一番気持ち良かったのは何といっても光あふれるダイニング。窓の大きさや配置、天井の形状などが合わさって、部屋の中にいるのだけれど、外に包まれているような、開放的で心地よい空間になっています。ここでいただいた朝食(※オプションでつけることができます)が最高に美味しかった。こんなところで毎日の食事が楽しめるとしたら、こんな幸せなことはないなと、つくづく思いました。
こちらの「讃岐緑想」、実際に宿泊体験をすることができますので、ご興味のある方はぜひ一度体験してみて下さい。
今「映えスポット」となっている父母ヶ浜の浜辺の近くに建っており、近くにはお洒落な飲食店も増えているのでご飯も安心です。
↓「讃岐緑想」宿泊予約はこちらから
一棟貸しっていうのがいいですよね。
広島でもこんな素敵な一棟貸しをやってみたいですね。
山の中のロケーションで、戸山なんていいかもしれませんね。
いや~、建築って面白いですね。
それではまた次回、「夢中な建築」でお会いしましょう。
written by atsushi tamura