2025年から省エネ制度が変わる?どのように変わるのか解説します!
みなさんは省エネ制度が変わることをご存知でしょうか。
しかし、具体的にどう変わるのでしょう。
この記事では省エネに関連するカーボンニュートラルや、省エネ義務化によって何が変わるのかについて解説します。
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□省エネが義務化される?
2021年に国土交通省は、全ての新築住宅に対して省エネ基準適合化を2025年から義務付けることを決定しました。
これは2013年ごろから継続的に検討されてきた事柄でしたが、今まで決定が見送られてきました。
それは以下のことが理由です。
・光熱費の削減によって基準を満たすために必要な追加投資を回収できる年数が非常に長い
・義務化によって適合度合いが小さい小規模建築の市場が混乱する恐れがある
これらの背景から、義務化したのは延床面積が300平方メートル以上で2000平方メートル未満のホテルや商業施設などを除く新築の建物だけでした。
では、省エネの義務化によって住宅を購入する際に何が変わるのでしょうか。
まず挙げられるのがコストアップする可能性です。
省エネ基準が高くなければ、内断熱でサッシ機能を向上させるだけで事足りるため、それほどコストは上昇しません。
しかし、省エネ基準が厳しくなる場合、コストアップする可能性が高くなります。
例えば現在のマンションでは外側にタイルを貼って内側に断熱材を充填しているケースが多くあります。
しかし、基準が厳しくなるとコンクリートの外側に断熱材を貼らなければいけなくなり、大幅にコストアップが見込まれます。
□カーボンニュートラルについて解説します!
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスのトータルの排出量を少なくしようという取り組みのことです。
しかし、私たちが生活していく中で、完全に排出をゼロにするのは現実的ではありません。
そこで排出した量から吸収した量を減らすことで実質排出した温室効果ガスの量を減らそうというのです。
実質的に排出量をゼロにした状態を脱炭素といい、それを実現したことを脱炭素社会といいます。
ではなぜ日本はカーボンニュートラルを目指そうとしているのでしょうか。
それには主に「持続可能な社会を実現する」「経済競争に打ち勝つ」の2つの理由があります。
1つ目は持続可能な社会を実現することです。
近年は世界的に異常気象や気候変動に伴う災害が多く発生しています。
これらは地球温暖化が1つの原因になっていると言われているため、地球の平均気温の上昇を抑制して、気候変動を抑えて行かなくてはいけません。
そのためにカーボンニュートラルを目標に掲げ、様々な取り組みをしているのです。
2つ目は経済競争に打ち勝つためです。
世界の競争の中で、今や環境に対する負荷は無視できません。
カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが不足している企業は消費者に選ばれず、競争を勝ち抜いていけないのです。
□省エネ制度が変わる!
では、省エネ義務化によって具体的に何が変わるのでしょうか。
ここでは義務化によって変わるポイントをいくつかご紹介します。
*これまでの最高等級が最低等級になる
建物の省エネ基準を示す指標に「等級」というものがあります。
現時点では等級が1から7まででランク付けされていますが、2025年からは等級が4から7までになります。
等級が1から3までの建物はそもそも建築が禁止されてしまうのです。
等級について詳しく見ていきましょう。
2022年から新設された等級5は、ZEH基準と言われており、太陽光パネルのような設備を組み合わせることによって光熱費をゼロに抑えるレベルの断熱性能を持っています。
等級6と7はそれ以上の断熱性能を有しています。
等級が5以上になってくると、冷暖房にかかるエネルギーが30パーセントから40パーセント削減でき、少ない光熱費で室内を快適にキープできるようになります。
*長期優良住宅の認定基準の見直し
国土交通省では、長期優良住宅に認定する基準の見直しも進めています。
これは耐震性や省エネ性に優れている住宅で、住宅ローンの金利や税制などの優遇を受けられます。
これまでは長期優良住宅の省エネ性能は等級4が条件の1つとなっていましたが、先ほどご紹介したZEH基準である等級5まで引き上げられる予定です。
*太陽光パネルの設置義務化
東京都では、2022年5月に、新築の建物に太陽光パネルの設置を義務化すると発表されました。
現時点では、太陽光パネル設置の義務化だけではなく、電気自動車の充電設備の設置を義務化する議論もされており、条例化を目指しています。
□まとめ
省エネの義務化によって変わることを解説しました。
2030年度からはさらに省エネ基準が厳しくなると言われています。
厳しいというと、マイナスの印象を抱く方が多いかもしれませんが、これはカーボンニュートラル実現に向けて前進していると捉えることも可能であるため、ぜひ省エネ住宅を検討してみてください。